★昭和電工

 昭和電工は12日、2020年12月期の業績予想について、最終損益が900億円の赤字(前期は730億円の黒字)になる見通しだと発表した。赤字額は過去最大。日立化成の買収関連費用として482億円を計上することが収益にのしかかる。黒鉛電極事業では鉄鋼生産の低迷と在庫調整による需給緩和により販売数量が落ち込み、石油化学事業でも原料ナフサ価格の下落に伴って製品市況が低下することも響く。

 売上高は前期比5・9%減の9600億円を見込む。4月に日立化成を連結子会社化したのを受けて、同社の20年7~12月期の業績見通しを反映した。

 営業損益は300億円の赤字(前年同期は1208億円の黒字)を見込む。日立化成の買収関連費用に加え、黒鉛電極事業の簿価切り下げの影響や石化事業の原料価格下落、新型コロナウイルスの影響など1038億円の減益要因を織り込んだ。

 日立化成の売上高は2800億円、営業損益は200億円の赤字を見込む。営業損益には売上原価調整として118億円、のれん等償却費として187億円が含まれる。

 森川宏平社長は12日の決算説明会で「新型コロナや市況・ナフサ要因のマイナス影響は年間営業利益で700億円と見積もっており、仮に来期が今期と同じように影響を受ければ、のれん償却後の営業損益は40億円の赤字というのが現状」と語った。

 同時に発表した20年1~6月期決算は、売上高が前年同期比31・3%減の3266億円、最終損益が545億円の赤字(前年同期は658億円の黒字)だった。石油化学事業は営業損益が36億円の赤字(前年同期は84億円の黒字)で、1~3月期(2億円の赤字)に比べて営業赤字幅が拡大。黒鉛電極を含む無機事業、アルミニウム事業も営業赤字に転落した。労使交渉が合意に至ったドイツ・黒鉛電極工場の閉鎖費用として47億円を特別損失に計上することも収益を押し下げる。

★ENEOSホールディングス

 ENEOSホールディングスの4~6月期決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比57・3%減となる210億円だった。原油価格急落に伴う在庫損失622億円が響いた。一方、在庫影響を除く営業利益は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも同20・5%増の832億円だった。堅調な石油製品マージンや、子会社の不動産開発事業での大型案件売却、通信需要増に伴う電子材料の増販などが業績に貢献した。

 売上高は同38・5%減の1兆5461億円、四半期利益は同84・6%減の34億円、子会社の非支配持分が減じられ、最終的に48億円の純損失(前年同期は173億円の純利益)を計上した。

 セグメント別の在庫影響を除く営業利益は、エネルギー事業が同38%増の438億円だった。タイムラグを主因として石油製品のマージンが改善し444億円の増益要因となった。一方、パラキシレンなどの主要化学品のマージン悪化に伴い石油化学製品事業は44億円の営業損失(前年同期は17億円の営業利益)に陥った。素材事業の営業利益は同65%減の68億円。自動車需要の低迷に伴う潤滑油の販売減や、ニードルコークスの需要低下の影響を受けた。

★カネカ

 カネカの2020年4~6月期決算は、営業利益が前年同期比7割の減益となった。コロナ禍を背景とした需要減により、事業規模の大きいマテリアルやクオリティ・オブ・ライフ(QOL)が落ち込んだ。一方で医薬分野を含むヘルスケアや電子分野向けなどの先端事業は業績を伸ばした。新型コロナの影響は第2四半期以降回復に向かう想定とし、開示した通期業績予想は売上高が前期比6・9%減の5600億円、営業利益が同19・3%減の210億円を見込む。

 第1四半期の売上高は前年同期比14・9%減の1266億円、営業利益は同71・0%減の20億円。マテリアルではカ性ソーダ、塩ビ樹脂ともに主要な輸出先であるインドの都市封鎖が需要を後退させた。樹脂改質剤などは欧米で需要が減った。

 QOLではバンパーコアなどに使われる発泡ポリオレフィンが自動車減産により停滞。頭髪分野の「カネカロン」も落ち込んだ一方、ポリイミド関連や高効率太陽電池は堅調で、明暗が分かれる形となった。

 ヘルスケアでは医薬品原薬・中間体の受託を手がける日欧の関連会社が業績に貢献。国内では6月からアビガンの原薬供給も開始した。ニュートリションは3割の営業減益。外食やインバウンドが減少し、パン・菓子向けの食用油脂やマーガリン類などの需要が減った。

★ADEKA

 ADEKAの2020年4~6月期決算は、営業利益が前年同期比12・3%増の50億円だった。化学品、食品事業は減収減益だったが、ライフサイエンス事業は海外の好調な農薬販売により業績が改善した。売上高は同3・3%減の678億円。新型コロナウイルスによる上期の需要減を織り込んだ通期予想も公表し、売上高は前期比4・6%減の2900億円、営業利益は同28・9%減の160億円を見込む。配当は前期と同じく中間24円、期末24円を予定する。

 4~6月期の化学品事業は、半導体向け製品と海外の家電向け難燃剤以外は低調だった。食品事業は国内の内食需要があったものの海外の販売活動が制限を受けた。一方、ライフサイエンス事業は農薬のほか外用抗真菌剤も好調で、売上高は同24・9%増の140億円、営業利益は10億円(同営業損失6億円)となった。

★K&Oエナジーグループ

 K&Oエナジーグループの2020年1~6月期決算は、ヨウ素の販売価格上昇などを受け営業利益が前年同期比8%増の29億5000万円、純利益が同10・3%増の20億6000万円と2ケタの最終増益となった。売上高はガス事業が振るわず同5・5%減の321億円となった。

 ヨウ素事業は売上高が同25・6%増24億6000万円、営業利益が同41・4%増の10億3000万円と大幅な増収増益を達成。好調な市況を背景に販売価格が上昇したことや販売量の増加などが寄与した。ガス事業は輸入エネルギー価格の影響で販売価格が低下したことなどから減収減益となった。

 通期見通しはガス販売量減少などを加味して売上高、各利益とも下方修正。売上高585億円、営業利益32億5000万円、純利益25億5000万円を見込む。

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