三井化学は14日、連結子会社のアークを8月1日をめどに完全子会社化すると発表した。アークはエンジンを除く自動車のすべての構造部材をデザイン・設計できる開発能力を有し、モビリティを成長領域の1つに位置付ける三井化学は自動車関連ユーザーへのソリューション提供を強化するため、2018年1月にアークを買収していた。東証1部に上場するアークは完全子会社化により7月30日をめどに上場を廃止する予定で、三井化学はガバナンスを強化する狙い。市場環境が急激に変化する自動車分野において総合力を駆使したソリューション提案や顧客基盤の更なる拡大を図るほか、周辺新事業の創出も目指す。

 株式交換によりアークを完全子会社とする予定。アークの普通株式1株に対し三井化学の普通株式0・0511株を割当交付する。すでに三井化学が保有するアーク株式は割当を行わない。6月26日開催予定のアークの株主総会における承認を経て、7月29日を最終売買日とし、8月1日から完全子会社となる予定だ。なお現在のアークの株主比率は、三井化学の完全子会社エムシーインベストメント01が74・4%、オリックスの完全子会社OPI・11が10%、その他株主15・6%。エムシーインベストメント01は7月末に三井化学への吸収合併により消滅する予定で、三井化学がアーク株式を直接保有する。

 アークは強固なグローバルネットワークを構築し、とくに欧州の自動車市場に強い。独子会社のP+Zエンジニアリングは、独BMWなどの開発初期からデザインや設計に入り込んでおり、ノウハウと技術を蓄積させている。完全子会社化により、グループ一体での機動的な意思決定や、人的・財務資源の効率的な配分、緊密なコミュニケーションによる協業促進などが期待できるとして、モビリティ領域の拡大につなげる。

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