塩野義製薬の手代木功社長は1日、都内で開催した新中期経営計画説明会の席上、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて「来月後半から製造を開始する。年内の早い時期に臨床試験をスタートしたい」との考えを示した。併せて、新型コロナウイルス感染症治療薬に関しては、「年内の臨床試験を目指す」とともに、重症化抑制につながる化合物開発にも着手したことを明らかにした。

 現在、同社は子会社UMNファーマを通じて、新型コロナウイルスワクチンの開発に取りかかっている。UMNファーマが持つたんぱく発現技術を活用。組み替えたんぱく抗原を使ったワクチンの製品化を目指している。

 生産能力は、足元、秋田県の既存工場で「数百万人分が提供可能」。今後、投資を進め、「1月以降、1000万人を供給できるめどを得た」とした。将来、国内だけでなく、海外市場にも投じていく。

 治療薬は、北海道大学との共同研究で見出した低分子化合物を中心に取り組んでいる。コロナウイルス以外には効かない「クリーンな化合物」というのが特徴。試験管レベルでは米ギリアド・サイエンシズの「レムデシビル」よりも「強い効果がある」といい、少ない投与量で済む可能性があることから、安全性向上に寄与できるとした。

 一方、新型コロナウイルス感染症を疾患として見た場合、「重症化予防に役立つ薬剤も欠かせない」と強調。米ベンチャーと重症化を抑える化合物の共同研究開発を始めているともした。

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