オランダに本社を置くコビス・ファーマは19日、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として、吸入ステロイド剤の喘息治療薬「オルベスコ」(一般名・シクレソニド)の第3相臨床試験を米国で開始したと発表した。軽症患者400例を組み入れ、新型コロナに対する有効性や安全性を検証する。同剤は肺の炎症を抑え、ウイルス増殖を抑える効果があると報告され、日本などでも新型コロナ適応の臨床試験が始まっている。

 ランダム化二重盲検プラセボ対照試験として、米国で第3相試験を始めた。入院不要な軽症患者(12歳以上)を対象に行う。目標症例数は約400例。標準治療に同剤を追加した場合の有効性、安全性について、標準治療のみの場合と比較する。主要評価項目は30日後の入院や死亡例の減少率。同社は8月後半~9月前半頃に試験の初期データを発表できるとみている。良好な結果が得られれば、新型コロナに対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に薬事承認を申請する考え。

 オルベスコは新型コロナウイルスの増殖抑制と肺炎症状の改善に効果があるとされ、各国で臨床試験が行われている。日本では国立国際医療研究センターによる臨床試験が進行中。無症状・軽症患者90例を対象に、プラセボ投与と比較する試験だ。

 同剤は元々、武田薬品工業が買収したスイスのナイコメッドが開発した医薬品。日本では帝人ファーマが開発・販売権を持っている。海外では、米サノビオン・ファーマシューティカルズ(大日本住友製薬の子会社)、英アストラゼネカを経て、コビス社に権利が移った。

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