加藤勝信厚生労働大臣は31日、新型コロナウイルスワクチンの国内供給に向けて、米ファイザーが来年6月までに6000万人分を供給することで同社と基本合意したと発表した。日本政府が具体的にワクチンの確保にメドをつけたのは初めて。開発が先行する海外のワクチンを導入し、来年の東京五輪までの接種開始を目指す。さらに他の開発企業とも交渉を続け、全体で1億2000万人分以上の確保を狙う。

 加藤厚労相は同日記者団に対し、「米ファイザー社と、新型コロナウイルスワクチンの開発に成功した場合、来年6月までに6000万人分供給することで基本合意した」と表明。まずは供給を始める時期と供給量について合意した。さらに協議を行い、日本での開発計画や薬事手続き、製造体制などを確認して最終合意を目指す。

 日本政府が特定の企業からコロナワクチンの供給について合意したのは初めて。1人2回接種することを前提に、6000万人分をファイザーから調達する。ほかの企業とも交渉をすすめ、少なくとも1億2000万人分以上を供給できるようにしたい考えだ。政府は英アストラゼネカ(AZ)とも交渉を行っており、AZは1億接種分を日本に供給することを検討している。

 ファイザーが開発中のコロナワクチンは、mRNAを使った遺伝子ワクチン「BNT162」。4種類のmRNAワクチンで構成したプロトタイプ・ワクチンで、このうち1つ(BNT162b2)は、先ごろ欧米などで最終治験を開始した。早ければ10月にも緊急使用許可(EUA)などの特例措置による承認申請を行う考えだ。独ビオンテックと共同開発するワクチンで、年内に1億接種、来年には13億接種を供給可能にする計画を明らかにしている。 

会見する加藤厚労相

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