ホテルなどで行われる記者会見。記者はどんな記事に仕立てようかと思いを巡らせる一方、どうやって原稿を送るのかが悩み事だった。パソコン通信の端末が接続できるグレーの公衆電話を探す必要があったためだ。まだ携帯電話が普及していなかった時代のこと▼きょう9月11日は公衆電話の日。明治33年(1900年)、東京に初めて設置された。総務省の情報通信白書によると、2008年度には30万台強が設置されていたが、13年度には20万台を割り込み、19年度末は約15万台まで減少した。ピークは84年度で93万台だった▼一方、東西NTTは災害時用公衆電話(特設公衆電話)の事前配備を進めている。避難施設などで緊急連絡手段を確保するのが目的。通常時は施設管理者が保管している▼小中学校、公共施設、コンビニなど全国で約4万3000カ所に8万2000台が置かれている。もちろん無料で利用でき、停電しても使うことができる。設置場所はホームページを通じて検索が可能▼携帯電話で通信が自由にできるようになったが万能ではない。仮に避難が長期化すれば充電に困ることがあるかもしれない。公衆電話はいざという時の助け船。通勤に使う駅などで見かけたら覚えておくのもいいだろう。台風シーズンがやってきた。事前の備えに十分すぎることはない。(20・9・11)

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