記者の仕事は「足で稼ぐ」と言われる。ネタを仕入れるため、あちこち取材に出かけるためだ。外回りの機会は少なくなっているが、靴のかかとは徐々に減っていく。何足かを使い回しているにもかかわらず、一年も経つと、かかとの外側の削れが目立つようになる▼靴のかかとは何層かの貼り合わせになっているが、地面と接触する部分はトップリフトと呼ばれ、足にかかる衝撃を吸収する役割を持つ。もともと消耗する部品であり、交換が必要になる。駅などで見かける修理屋に出すと一足3000円近くかかる▼それならば自分で修理しようと思い立ち、靴底補修材のキットを通販で取り寄せた。密着性を高めるため紙やすりをかけ、補修したい高さに合わせて細いプレートを貼りダムのような壁を形成する。そこに黒い熱硬化型ウレタン樹脂を充填していく▼苦労したのはヘラで均一にならすことだ。不器用を自認しているが、埋めた部分はなかなか平らにならず微妙な凹凸が残ってしまう。数分挑戦したが諦めてドライヤーで乾かす。プレートを取ると密着しているようだが、外観はよろしくない▼それでも自力でやり切ったことで小さな満足感に浸った。一足を長く履き続ければSDGs(持続可能な開発目標)の「つくる責任 つかう責任」に少しでも貢献するのではないか。(22・7・15)

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