世の中、いつ何が起こるか分からない。少しでも歴史を勉強すれば、そんなことは当然だと思う。そうでなくとも、例えば一本の映画をみるだけで、数奇な運命をたどる人生を体感できる。しかし、本当にそれを実感するようなことが短い周期で起きている。テロ、震災、パンデミック、混乱する国際社会…。次は何が起こるのだろう▼企業の経営者ともなれば、先々に起こることを予測しなければならない。答えはいつもミステリー、では済まない。工場を安全に稼働し、品質に万全を期し、約束通りに製品を供給し、そのうえでコストを徹底的に削減したとしても、世の中が変わってその製品が不要になれば、たちまち窮地に陥る▼世の中は、確実に変わっていく。新たなトレンドがわれわれを待ち構えている。それを察知し、行動を起こさなければならない。ヌーも渡り鳥も鯨も、変化を察知し大移動する。危険を冒してでも空や大地や海を進むのだ。そうした逞しさが、少しずつこの国から消えているのではないか。そんな不安が頭をよぎる▼変化を恐れない勇気、多少のことでは挫けない強い意志。アニメの中の世界ではなく、現実にそういう人を育てることが必要だ。好奇心と情熱と思いやり。それらを育むにはどうしたら良いのか。それこそが最優先事項といえまいか。(21・1・26)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る