新聞のスポーツ欄には、冬期はスキー場の積雪情報が載っている。一昔前まではほとんどの新聞に載っていたように思うが近頃は電子媒体だけに載せている新聞社も少なくないようだ。スキーというレジャーの人気の陰りを象徴しているのだろう▼かくいう私は、雪国生まれでスキーが滑れるから、スポーツ欄を開けばついついそこに目がいってしまう。とくに自分が滑ったことのあるスキー場の積雪は今も気になる。ただ、情報をこまめにチェックしているからといって、スキー場にせっせと通っているわけではない。ましてやいまはコロナ禍で、外出は自粛せざるを得ない。だから、この積雪量ならあのゲレンデはこういう状況だろうなと想像し、滑っている姿を思い描いて悦に入っているだけだ▼今はかなりのスキー場がライブカメラを設置していて、ゲレンデのリアルタイムの情報を流している。スチル映像を一定のインターバルで更新するタイプしか見たことはないが、おそらく動画でストリーム配信しているところもあるだろう▼先週土曜日、この原稿を書きながら、積雪4メートルを超えるという故郷のスキー場のライブカメラを見て驚いた。ゲレンデにほとんど人がいない。滑っている人にとっては、ゲレンデ一人占めの気分だろうか、それともむしろ寂寥感だろうか。(21・2・3)

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