今月上旬に九州・奄美地方を襲った台風10号は過去最強クラスと言われた。気象庁が早い段階から強く警告を発し、進路に当たる地域の人も早めの対策を講じた。数日前に通過した台風9号の影響で海面水温が下がったこともあり勢力は最悪の規模に発達することはなかったが、多くの爪痕を残した▼この台風で避難した人の話では、風雨が激しくなる前に行動したにもかかわらず、最初に向かった指定緊急避難場所はすでに満杯で、別の指定避難所で一夜を明かした。三密を避けるため間隔を開ける必要があり、避難所のキャパもすぐにいっぱいになる。コロナ禍での非常事態への対処の難しさを感じさせられる▼ウィズ・コロナの現況下、危機管理に対する意識は以前より高まった気がする。コロナと台風、気を付けるべきことは異なるかも知れないが、起こり得るリスクを予想し、それに対応できる体制を確立するという根本は同じ。マスク着用を拒否して話題になった飛行機の乗客は、それが欠如しているとしか言いようがない▼きょう9月17日と26日は台風襲来の特異日だそう。これからの秋台風は、秋雨前線との組み合わせで大雨をもたらすこともあるから要注意だ。秋から冬にかけて新型コロナウイルスの再流行が危惧されている。危機管理に「過剰」の二文字はないのだ。(20・9・17)

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