日の入りがさらに早くなった。日没後、まだ空に明るさが残る頃、大量のカラスが鳴きながら森に帰って行く。5羽ほどが一緒になって飛び過ぎる。また5羽、さらに5羽。それが何度も何度も続く。一体どれほどいるだろう。やがて寝ぐらの森からは、大量のカラスの鳴き声がこだまする▼繁殖して子育てをする春から夏にかけて、カラスは「つがい」で行動し単独の巣を作るので、寝ぐらの群れの数が減る。幼鳥が巣立ち一人前になる秋以降になると、また群れに戻る。寒くて餌も減るこれからは、防寒や情報交換のため寝ぐらが最も混み合う時期だ。多いケースでは、数千羽のカラスが集まるという▼公園で縄跳びをした。記憶がないほど久しぶりのことなのに、普通にできた。二重跳びもできた。子供のころできるようになったことは、いつまでも体が覚えている。ただ、子供の頃と違うのはすぐに疲れてしまうこと。わずか数分で汗びしょりとなり、足は痛い。翌日、肩も腕も痛かった▼さて、運動もしたので、久しぶりに食べ放題のしゃぶしゃぶでも食べに行こう、となった。時短営業が解けた飲食店に、人のつがいとその子供達が群がっていることを察知できぬまま。カラス、いや子供、なぜ泣くの。しばし忘れていた日常の風景があった。このまま戻ってくれるだろうか。(21・11・9)

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