時の流れは止まることを知らず季節は着実に進んでいく。コロナも何も関係ない。定期的に公園に通うと本当にそう実感する。5月に入ると木々はいよいよ鮮やかな緑に色付き、広場で遊ぶ子供達の声もひときわ大きくなる。野良猫だけは、日だまりでだらしなく寝転んでいる▼この時期は1年を通じて最も好きな季節だ。4月に生まれ、申し分のない5月の気候のもとで母親の乳など吸っていたからでは、と密かに思っている。この世は悪くない。そんな甘い考えが染みついたに違いない。お陰でズボラで脳天気な性分が身に付いた▼およそ日本語とは思えないズボラという表現。メリハリがなくだらしない様子を表す「ずんべらぼん」が語源らしい。ズボラな人、の反対の表現はマメな人だろうか。この場合のマメは豆ではなく、実あるいは忠実という字があてられる。もっとも、ズボラな人が多用する、あの人はマメだからなあ、には少なからず皮肉が込められている▼初夏を感じさせる気候となった週末、茹でたインゲン豆をショウガ醤油で食べたくなり、スーパーで求めた。帰宅すると、近所に住む親戚が家庭菜園で採れた見事なそら豆を持ってきた。インゲン豆とそら豆、どちらにしようか悩んだあげく、両方茹でて食した。どちらも美味い。マメな人を目指す、と密かに誓った。(21・5・11)

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