雲の白さや夕焼けの美しさに見ほれることの多い近頃だが、先日見た虹も見事だった。そして思い出した。弊紙の「うちラボ特集」(7月27日付)で「でんじろう先生」こと米村でんじろうさんが、インタビューで語っていた虹のことについて。さっそく特集を引き出しから引っ張り出した▼親は子どもにどう対するべきかという問いにでんじろう先生は、身の回りにあるちょっとしたこと、「一次体験」になるような自然現象を一緒に観察しよう。そして一緒に話しあってみよう、と勧める▼たとえばこんなふうに。「虹ってどうしてできるのかな?」「虹って、雨というスクリーンに太陽が映って反射しているんだよ。だから虹はほんとうは丸い。だけど地面に半分かくれて消えているだけ…」。これを読んで、本当に感動してしまった。宮沢賢治の童話を読んで受ける感動に近いと思った▼さっそく、半時間程度で読めそうな『グスコーブドリの伝記』を読み始めた。今ならさながらドローンだろうが、小さな飛行船で肥料を雨雲の上からまいたり、冷害を克服するために火山を爆発させて炭酸ガスを増やし気候を温暖化させようとしたり、潮汐発電所を建設したりと、現代の問題と関わりの深いことが書いてあって驚いた▼身の回りの自然と科学と想像力。いつまでも大切にしたい。(20・9・2)

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