生殖医療関連検査事業を手がけるスペインのアイジェノミクスは日本で、新型コロナウイルス検査事業に参入し、検査キットの販売を開始した。先行展開中の海外での経験を活用。自社ラボで検査できる体制を敷くとともに、判定手順の工夫などを通じて、誤った結果が出にくいようにしたのが特徴だ。診療所を中心に自費検査用に紹介するほか、オンライン販売によって企業・個人にも提供する。

 唾液を検体とするPCR検査用キットで、採取後、郵送によって回収する。最短で検体の受け取り当日に結果が分かる。採取した後にウイルスを不活化する試薬を容器に組み込んでいることから安全に取り扱える。また、常温保管が可能なため特別な設備も不要だ。

 キットはカナダ企業製だが、自社の遺伝子検査事業で培ってきた経験をプロトコルに反映することで精度の高さの担保につなげている。例えば、サンプルの遺伝子のうち、3カ所中、2カ所が“クロ”でないと陽性と判断しない。併せて、神戸市に設けた自社ラボで熟練した臨床検査技師が作業にあたることで質の高さを確保している。

 同時にELISA法による高感度抗体検査キットも準備する。血液をサンプルにIgM抗体、IgG抗体ともに測定できるため、感染初期段階でも陽性かどうかが分かる。そのため、より精度が高まるとしてニーズに応じてPCR検査との組み合わせを提案していく。

 スペインを本拠に世界各国に展開するアイジェノミクスは、生殖医療向け遺伝子検査が事業の柱。着床前染色体異数性検査(PGT-A)や子宮内膜着床能検査(ERA)などを手がけており、日本では2017年に現地法人を立ち上げている。

 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が続くなか、蓄積してきた遺伝子検査のノウハウを生かせると判断。欧州を皮切りに同感染症を対象としたキットの提供にも乗り出した。日本の場合、アイジェノミクス・ジャパン(東京都中央区)のホームページからも購入できる。

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