アイジェノミクス・ジャパン(東京都中央区)は、新型コロナウイルスワクチン接種による抗体価を測定するサービスを月内にも開始する。医療機関向け、個人向けそれぞれで検査キットを発売し、ワクチン接種によってどれだけの抗体が得られたかを数値で示す。ELISA法を用いた高感度な測定が特徴で、1キット税込4950円と安価に提供する。同社ホームページ(HP)を中心にオンライン販売し、年内で数千検体の検査を見込む。

 新型コロナウイルスワクチンでは、接種後の時間経過による抗体価の減少が生じるため、政府は3回目接種(ブースター接種)の実施を検討している。抗体価への関心は高く、簡便に自らの値を測定できるサービスが求められている。ただ、現在、国内で出回っているキットは価格が高い、性能にばらつきがあるといった課題が存在する。

 同社が発売するキットは、個人向けの場合、入っている針で指に傷をつけ採血する。ろ紙に検体となる血を染み込ませ、同社の神戸ラボへ郵送。最短で検体到着後、翌日には結果が分かり、メールで通知する。

 抗体価の実数値のほか、これまで報告のあった論文から導いた参考値と比べ、自身の抗体価が「範囲内」「高」「低」のいずれかになるかなど相対的な状況が分かりやすく理解できる工夫を凝らしている。

 キットの試薬には独ユーロイミューンの製品を採用した。一般的な抗体検査ではIgGなどを調べるが、今回はSたんぱくの抗原を特異的に定量する試薬を使うことで、高感度かつ高精度での測定が可能になった。医療機関向けのキットでは採血で検体を得るため、より確かな測定を可能としている。

 「ブースター接種が始まった場合、自分が接種すべきかどうかの目安になる」(同社)としており、自らの抗体価を知りたいとする社会ニーズに応えていく。また、1、2カ月ごとのモニタリングとして定期的に使うことを想定している。

 同社は、スペインに本社を置く生殖遺伝子検査サービス会社の日本法人。新型コロナウイルス感染症流行を機にPCR検査のサービスを開始し、今回の抗体検査が二つ目のラインアップになる。いずれも保有する技術と社会的な意義がマッチしたことから事業化にいたった。ワクチン抗体価測定サービスは日本法人での先行的な取り組みで、ニーズ次第ではグループ内で広く展開していくとしている。
(橋本隼太、吉水暁)

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