スイス・ロシュは、新型コロナウイルスに対する治療薬開発で、中外製薬の抗体医薬「アクテムラ」と米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス剤「レムデシビル」(日本製品名・ベクルリー)を併用する臨床試験を開始すると発表した。重症患者を対象に、6月から欧米などで症例登録を始める。アクテムラの免疫抑制効果と、レムデシビルの抗ウイルス効果を組み合わせることで、重症例に対する治療効果が高まるか検証する。

 ランダム化二重盲検の第3相臨床試験「REMDACTA」を始める。アクテムラとレムデシビルを併用した場合の有効性、安全性について、プラセボ・レムデシビル併用群と比較する。対象とするのは、新型コロナに起因する肺炎症状がある入院患者。欧米など各国で約450例を組み入れる予定。6月から症例登録を始める。中外製薬によると、日本は試験に参加しない。

 ロシュはアクテムラ単剤の臨床試験も4月から実施中。欧米などで450例の症例登録を計画し、近く登録が完了する見込み。今夏にも結果を発表する。日本では中外による国内治験が先月始まった。

 アクテムラは関節リウマチ治療薬などとして販売されているが、新型コロナ患者の免疫暴走により生じる重篤な肺炎症状にも効果があると報告されている。

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