アジアのポリエチレン(PE)市況が弱含んでいる。足元、高密度PE(HD)は1トン当たり800~830ドル、低密度PE(LD)は850ドル前後、直鎖状低密度PE(LL)が800ドル前後で、1カ月で70~100ドル下がった。定修中や稼働停止中のプラントが複数あるものの、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう物流の混乱が生産活動を停滞させている。800ドル割れを嫌うサプライヤー心理が強いことなどで当面は800~900ドルで推移するとの見方が多い。
 1カ月前に比べHDは100ドル、LDとLLは70~80ドル下がった。1月は域内ナフサクラッカーの減産による原料高を受け春節休暇前まで強含んでいたが、新型コロナウイルスの感染拡大が需要家の調達意欲を削いだ。
 市場関係者によると中国国内における製品の運搬や引き取りが滞っていることが大きい。「通関業者に人がおらず、ドライバーも足りない。上海のあるユーザーでは従業員の出社が制限されていて、荷物が到着しても引き取りができない」ようなケースが多く発生しているようだ。
 1月から3月にかけて東南アジアではタイのPTTグローバルケミカル(HD年産33万トン)やマレーシアのロッテケミカル・タイタン(LD22万トン、HD/LL23万トン)が定修を実施。中東勢も減産でアジア向けの供給が絞られているものの、こうした需要減要因が先行している。
 需要が回復する見込みが少なく、下げ基調が続くとみられるが、商社筋は「オファー価格はそこまで下がっていない。LLで795ドルとの提案もみられるが継続はしない」とみる。800ドル割れを避ける心理が強く、800~900ドルの値動きが続くとの見方が大勢を占める。

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