新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が、日本でも始まる。アンジェスが大阪大学などと開発する新型コロナワクチン「AG0301-COVID19」の第1/2相臨床試験が、大阪市立大学医学部附属病院で開始される予定だ。健康成人30例を登録し、筋肉注射で2回接種した後の免疫原性や安全性を評価する。ワクチンには、効果を高めるアジュバント(免疫増強剤)も添加される。阪大医学部の附属病院でも同様の試験を予定し、両試験の結果をみて第3相試験の実施を検討する。

 大阪市立大学医学部附属病院の治験審査委員会(IRB)が24日付で治験実施を承認し、同病院とアンジェスが25日付で治験契約を結んだ。治験実施業務は、アンジェスと共同開発契約を結んだ医薬品開発支援機関(CRO)のEPSホールディングスが担当する。

 日本医薬情報センター(JAPIC)の臨床試験情報によると、低用量、高用量2種類のグループに分け、2週間間隔で2回筋肉内接種する。目標症例数は30例で、過去に感染歴がない20~65歳の健康成人を組み入れる。30日から登録を始め、試験期間は来年7月31日まで。

 主要評価項目は、安全性と免疫原性。免疫原性は、感染の足がかりとなるウイルスの「Sタンパク質」に特異的な抗体価の8週後までの変化を解析する。副次的評価項目では、さらに長期の安全性と免疫原性を評価。Sタンパク質の受容体結合ドメイン、新型コロナウイルス抗体認識部位(B細胞エピトープ)に対する抗体価の変化などを解析する。

 ワクチンにはアジュバントが使われることがわかった。アンジェスによると、アジュバントの詳細は非開示だが、同社が今回のワクチン開発で提携した企業との共同開発を通じて応用するという。

 阪大医学部付属病院でも同様の第1/2相試験を行う予定。複数の施設で安全性などを検証したうえで、大規模治験へ進めるか判断するが、時期や規模などは未定という。

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