アース製薬は、「働き方改革」と今年開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックを見据え、2018年秋からテレワーク導入の準備をスタート。本社でのトライアルを皮切りに範囲を広げ、19年9月から正式に在宅勤務制度を設けた。テレワークは原則月4回までで残業は原則不可。正社員、雇用延長者など約700人が対象となっている。

 インフラ面はVPN(仮想専用線)を用い、離れた場所にいながら社内と同じ環境で仕事ができる。オンライン会議などはグーグルのコミュニケーションツール「ミート」などを活用している。

 導入当初はテレワークを特別な制度と捉える傾向はあったものの、実践した人からは「通勤に使っていた時間を有効活用できる」「資料作成など集中力が必要な業務の効率が上がる」「家族と過ごせる時間が増えた」など好意的な声は多かったようだ。

 今年は新型コロナウイルス感染拡大にともなう時限措置として、2月末からテレワークの回数制限を除外。また契約社員、派遣社員も対象に加え、可能な限りテレワークできる体制を敷いた。このため、コロナ禍でも生産ラインなど一部の社員を除き、多くの社員が在宅勤務にスムーズに移行できた。

 一方、長期化したことで課題も表れた。同社管理本部人事部の齋有希子課長補佐は、「一番の心配は社員の健康管理。在宅勤務が続くと運動不足になりがちで、またコミュニケーションが不足する部分もあり、心身両面でのケアはやっていかなければならない。今後改善が必要な部分」と話す。

 コロナ収束後は健康管理、コミュニケーション、評価制度といった各課題を解消したうえで、上限回数の拡大などを図りテレワークの浸透を図る考えもある。社内アンケートの実施や在宅での業務効率も検証していく。

 また、アース製薬に限った話ではないが、テレワークを推進するにあたり、要となるのがペーパレス化といわれる。同社ではテレワークが広がったことを契機に、紙ベースの社内申請書の電子化対応を進めた。また、領収書や請求書を電子化する計画もある。年内をめどに電子化の新システムを構築し業務効率化に取り組んでいく。(随時掲載)

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