米イノビオ・ファーマシューティカルズは新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が一時中断されることを発表した。米国で後期臨床試験の実施を申請したが、同国当局から確認事項を受けたため、確認が終わるまで審査手続きが保留される。ワクチンの投与デバイスに関する問い合わせで、ワクチン自体の安全性などに影響はないとしている。

 イノビオが開発しているのは、DNAベースのコロナワクチン。注射針を使わず、独自開発した皮内投与デバイスで接種する。デバイスの電気パルスにより有効成分を注入する。米国で第2/3相臨床試験(P2/3)実施に向けて治験届(IND)を申請していたが、米国食品医薬品局(FDA)がデバイスに関する追加の確認事項を出した。確認が完了するまではIND審査が保留されるため、P2/3の開始が遅れる見通し。同社は当初、7~8月中に始める計画だった。

 イノビオのコロナワクチンは、さまざまな環境で扱いやすい特徴がある。投与デバイスは単3電池で作動するポータブル機器。ワクチンの薬液は常温で1年以上保存でき、冷凍保存など特別な輸送環境が不要とされる。37度C環境でも1カ月は安定性を保てるという。米政府などもこのデバイス製造に向けて資金援助している。韓国、中国でも臨床試験中。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る