インド政府は3日、医薬品原薬(API)と製剤26品目について輸出禁止とする通知を発行した。新型コロナウイルスの感染拡大で中国からの供給量が減り、インド国内の医薬品不足と価格上昇が起こることを懸念しているため。国内で需要が高く、中国からの供給リスクがある抗生物質、ビタミン剤などの輸出を禁止する。インドは多くの医薬品を米国などに輸出しているが、まずは国内向けの安定供給を図る。
 インド商工省傘下の外国貿易総局(DGFT)は3日付で輸出禁止に関する通知を発行し、即時適用した。禁止するのは、解熱鎮痛剤「パラセタモール(アセトアミノフェン)」、抗生物質「チニダゾール」「メトロニダゾール」、ビタミン剤「ビタミンB1、B6、B12」、プロゲステロン製剤のAPI・製剤など26品目。期限は「追って通知するまで」としている。
 輸出禁止措置を講じた理由は、中国からの原料調達が減ってインド国内の供給不足が起こることを懸念したため。インドは医薬品原料の7割近くを中国から輸入。新型コロナウイルスの発生源とされる湖北省から輸入されているAPIが12品目あることがわかり、専門家会議が当該品目の輸出禁止を求めていた。
 インド政府はAPIや製剤の安定供給を図るため、APIの国産化も推進する考え。インド国内でAPI生産の設備投資を行う企業を優遇する措置などを検討している。

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