米イーライリリーは、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬候補の製造などを行う米国の自社工場が、米国食品医薬品局(FDA)の査察でGMP違反を指摘されたことを明らかにした。原薬の製造にかかわるデータ管理などに対して指摘事項があり、査察結果では最も低い評価である「規制措置対象(OAI)」に分類された。

 GMP違反が指摘されたのは、米ニュージャージー州ブランチバーグの工場。海外報道によると、昨年11月に行われたFDAの定期査察で、製造データの一部が不適切に削除されたことなどが明らかになった。今年7~8月にFDAが再査察したが、査察官はワーニングレター(警告文)を出すべきと評価したもよう。

 報道を受けリリーは20日、同工場のGMP査察で「データの取り扱いに関するいくつかの指摘」があり、OAI通知を受けたことを認めた。「FDAと緊密に連携して改善に取り組んでいく」ことを確認し、工場の人員を増やして原薬製造の品質管理体制を強化していることを明らかにした。OAIは3段階ある査察評価で最も低い評価で、品質にかかわる重大な規制違反があると分類される。数カ月後、さらに厳しい行政措置として警告文も出ることが多い。

 同工場では、リリーが新型コロナ治療薬として開発中の抗体医薬「バムラニビマブ」などの原薬を製造している。同剤の製造拠点は世界5カ所あり供給体制に問題はないという。同社は今月、米国で同剤の緊急使用許可(EUA)申請を行った。続きは本紙で

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