厚生労働省は23日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として日本イーライリリー(神戸市)のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤「オルミエント」(一般名・バリシチニブ)を承認した。すでに関節リウマチ薬などの治療に承認され、薬価も収載されている薬。コロナ向けにも販売を開始した同社は「供給に問題はない」としており、医療現場にスムーズに普及できる見通し。

 コロナの承認薬は、昨年5月に特例承認した米ギリアド・サイエンシズの「ベクルリー」(一般名・レムデシビル)と、ステロイド薬「デキサメタゾン」に続く3品目。

 オルミエントは、細胞内の酵素JAKの働きを阻害する経口薬で、炎症の原因の生理活性物質サイトカインを抑える。2ミリグラムと4ミリグラムの錠剤があり、2ミリグラムの薬価は2705・90円。

 効能・効果は新型コロナウイルス感染症による肺炎で、レムデシビルと併用する。4ミリグラムを1日に1回経口投与し、患者の状態に応じて2ミリグラムに減量する。酸素吸入、人工呼吸管理、体外式模型人工肺(ECMO)の導入を要する成人患者に対し入院下で投与する。投与期間は14日間まで。

 オルミエントの生産工場は明らかにしていないが、親会社の米イーライリリーは日米欧中プエルトリコに生産拠点を持つ。同薬は日本では、コロナの診療の手引きに適応外使用の候補薬として記載されてきたほか、すでにリウマチなどの治療薬として流通していることから、コロナ向けにも速やかに製品供給が進むもようだ。

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