エア・ウォーターは、新たな遠隔診療システムを開発した。医療施設間をネットワークで接続し、患者の生体モニターなど各種医療機器情報を一つの画面で確認できる。新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、同システムの導入で病室外からの容態確認を可能とし、医療従事者の感染リスクの低減と集中治療室(ICU)不足の解消に貢献。併せて一般病床などの改修工事も提案する。11日から販売・レンタルを開始する予定。上市後3年間で100施設への設置を目指す。

 遠隔医療システム「NOALON(ノアロン)」は、患者情報の共有で医師間のコミュニケーションを支援する。既存ICUに導入することで、院内外で患者の容態監視が可能な環境を構築でき、医療従事者の感染リスク低減に寄与する。専用ネットワークの提供など顧客の要望に幅広く対応する。

 集中治療専門医やICU不足の解消策として、一般病床、会議室などをICU化する改修工事の提案も有力とする。医療ガスや人工呼吸器、陰圧空調装置などをオプションとして想定するほか、集合個室の半個室化も想定。ウイルス対策ニーズの高まりを見込み、院内での空気・飛沫感染リスクを低減する。

 患者の情報を送信するクライアントと受信するサテライトの2つで構成。双方に生体情報の共有やコミュニケーションのためのパソコンやカメラなどを設置する。クライアント側には生体情報モニター入力装置を置くが、その他機器は施設ごとに選択可能とする。

 主な機能はテレビ電話、メッセージ機能のほか、クライアントから送信された画像(電子カルテや放射線画像など)にタッチペンで画面上に書き込めるアノテーション機能を搭載。リアルタイムな情報伝達で、円滑なコミュニケーションを実現した。今後は受注から3日以内の設置を想定し、導入実績の獲得を目指す。

 同社は近年、「エア・ウォーター国際くらしの医療館・神戸」(兵庫県神戸市)などで医療従事者とエビデンス集積に力を入れている。同館ではICUなどに必要な設備を再現し、医療施設での設備配置や動線の想定などのソリューションサービスを提供している。

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