エア・ウォーターグループは、ワクチンの効率的な接種を可能にする注射針を開発した。特殊なシリンジ(注射筒)を使用せずに米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチン1瓶から6回の接種を実現。国内向けは1日に販売開始した。2022年3月までに海外向け含めて約3億本の生産を予定している。

 「ローデッドスペース注射針」(写真)は、シリンジ側のデッドスペースを最小限にした製品。傘下のミサワ医科工業(茨城県笠間市、馬場秀運社長)が開発した。一般的な注射針とシリンジの組み合わせに比べて、注射器に残る薬液の量を約3分の1まで減少させる。

 ミサワ医科工業では、20年6月に約20億円を投じて、注射針の生産能力を倍増。年産19億本から30億本まで高めた。ワクチン接種の円滑化のために、ほかの製品の生産ラインも活用し、ワクチン接種用注射針の生産能力強化に力を注いでいる。

 エア・ウォーターグループは07年に注射針事業に本格参入。規模を拡大させながら、18年にパイプから最終製品までの一貫体制を確立している。

 同社の注射針事業は医療だけにとどまらず、歯科、美容、動物用など多岐にわたっており、多品種小ロットも対応可能だ。国内だけでなく、海外にも展開しており、総合注射針企業を目指して事業拡大に取り組んでいる。

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