エスカレーターを立ち止まって利用するよう努力義務を課す全国で初めての条例が、今月1日から埼玉県で施行された。同県民である小生は通勤時、最寄駅の階段を上る際に利用するのだが、今のところ以前とさほど変わらぬ光景が続いている。まだ始まったばかりであり、しょうがないことだと納得する▼関西の右立ち、関東を含め全国で一般的な左立ちの違いはあるものの、エスカレーターでは後から歩いて来る人のために片側を空けておく慣習が定着している。なかには駆け上がったり、駆け下りたりする人もいて、前の人を追い越そうとして転倒したり、別の人とぶつかったりする事故は後を絶たない▼罰則がないからか、この条例自体を知らないのか。それとも日本人の習性で常に時間を気にして、ついついエスカレーターを歩いてしまうのか。この条例、新聞やテレビ、ネットのニュースで結構取り上げられ、大々的なキャンペーンも実施された。だが、周知徹底され定着するには、もうしばらく時間がかかるのだろう▼ところで、乗り換える駅を含めて通勤電車の終着駅は、条例の対象外である都内。しかし、少しでも早く出社したい気持ちを抑えながら、もちろん左側でじっと立ち止まっている。本当は階段を歩く、それが健康のために一番いいことは分かっているのだが。(21・10・7)

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