米政治史上でまれにみる大接戦となった2020年の大統領選は14日に選挙人投票が行われ、バイデン前副大統領が過半数を獲得、勝利が事実上確定した。米国のエネルギー・環境政策が変わる可能性があるなか、世界や日本にどのような影響があるのか。国際大学大学院の橘川武郎教授、日本エネルギー経済研究所の小山堅専務理事に聞いた。(聞き手=小林徹也、石川亮)

<国際大学大学院教授・橘川武郎氏>

▼…バイデン前副大統領の大統領就任が確実な情勢となりました。

 「バイデン政権になっても米中のデカップリング(分断)は変わらないだろう。米中対立をエネルギーに引きつけて語ると、注目すべきは天然ガスだ。米国の『インド太平洋戦略』の根幹は中国と豪州、インドネシアを絶つことだが、両国にとって天然ガスは重要なエネルギー資源であり、中国に代わる輸出先として日本が登場する」

 「国は『新・国際資源戦略』の中で液化天然ガス(LNG)の2030年度の取扱量を1億トンにする目標を示したが、これには第三国への輸出も含めて運用する発想がある。米中対立のなかで、天然ガス分野でどのように存在感を高められるかが日本にとって重要だ」

▼…新政権の政策でどのような点が変わる可能性があるでしょうか。続きは本紙で

<日本エネルギー経済研究所専務理事主席研究員・小山堅氏>

▼…エネルギー情勢にとって、米国の政権交代が持つ重要性は。

 「国際的なエネルギー貿易材である石油・ガスにおいて米国の存在感は生産面・消費面で突出しており、その国で大きな政策転換をともなう政権交代が起きることは相応の影響を与える。大きな政策転換とは、自国第一主義から国際主義路線への回帰といえようが、『国益最優先をベースとした国際主義路線』であることを念頭に置くべきだ。自国経済・産業を守るという根底は変わりないという点で政策転換をとらえることが必要だろう」

▼…環境政策には積極的な姿勢がみえます。続きは本紙で

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