エレクトロニクス商社がサステナビリティ経営に向けた活動を本格化している。社長を委員長に据えた推進委員会を設ける企業も多く、社会課題の解決や女性活躍、CO2排出量削減などの社会責任活動に取り組んでいる。

 エレマテックは今年4月、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置した。直下にワーキンググループを置き、全社横断的な施策の検討、立案、具体化を図る予定だ。マテリアリティ(重要課題)と取り組み施策については、安心安全な社会に向けて「ドライブレコーダーの企画開発・部材の拡販による交通事故のない社会の実現」「医療機器部材の納入による適切な医療現場の整備」などを挙げた。環境負荷低減、循環型社会実現へ、環境に配慮した部材、クリーンエネルギー関連の部材の納入に努める。

 菱電商事も7月1日に委員会を設けた。社長を委員長に役付執行役員を委員とし、常勤監査役がオブザーバーで参加する。経営方針、事業活動やコーポレートの方針・戦略に対するサステナビリティ視点での検証・提言、環境、社会および、関連するガバナンス全社方針・施策の検証、事業におけるリスクと機会の把握などに取り組むという。

 佐鳥電機は、サステナビリティの推進の観点から、社会課題解決に貢献するビジネスとして、畜産業界に向けたエネルギー効率改善製品や、モビリティ業界に向けたエネルギー効率改善製品など、SDGs(持続可能な開発目標)関連商材の拡大を進める。社会責任活動として、ダイバーシティ推進では女性リーダー比率と外国人社員比率向上に力を注ぐ。社内CO2排出量削減にも努め、30年度に19年度比50%削減を目指す。

 エレクトロニクス商社は、サステナビリティ戦略として環境負荷軽減に貢献する商材の取り扱いを拡大する企業が多いが、そのアプローチ方法は、さまざまな製造・販売現場でICT(情報通信技術)技術を活用し、効率を向上することで環境負荷軽減に寄与するというエレクトロニクス商社ならではのものも多い。彼らが提供するソリューションが利用される現場も、農業など第一次産業から工場やオフィス、あるいは医療現場や店舗など多岐にわたる。

 企業経営においてカーボンニュートラルやSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが、これまで以上に重みを増している。各社が相次ぎサステナビリティ推進委員会の立ち上げているのは、それら活動を、より効率的に行う体制づくりが狙い。エレクトロニクス商社の、社会課題の解決に向けた活動の活発化が期待される。

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