エーザイは1日、自社化合物「エリトラン」を用いた新型コロナウイルス感染症に対する臨床試験を開始すると発表した。中等度の入院患者を対象に、免疫異常により起こる肺炎の重症化を抑制する効果があるか検証する。まず米国で始め、日本など各国に拡大していく。最大500例を組み入れる予定。試験結果は年内にも出る見込み。

 国際的非営利組織「アダプティブ研究世界連合(GCAR)」が実施する新型コロナ治療薬の国際臨床試験プログラム(REMAP-COVID)として、エリトランの臨床試験を始める。中等度の入院患者を対象に、最大500例を組み入れる予定。主要評価項目は投与後21日間で臓器不全を発症しなかった期間。米国の医療機関でまず開始され、日本を含む各国も順次参加する。試験結果は、年内にも判明する見込み。

 GCARは、ドラッグ・リパーパシング(既存の化合物の転用)による治療薬開発を支援する組織。REMAP-COVIDはアダプティブ型の臨床試験であるため、途中経過や患者の登録条件に応じて治験薬、割付比率が変わる可能性もある。

 エリトランはエーザイが重症敗血症の治療薬として過去に開発していた化合物。重い肺炎を起こす免疫異常(サイトカインストーム)の原因となるサイトカイン産生を抑制し、肺などの損傷を抑制する効果が期待されている。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る