ラーメンの食べ歩きを趣味にする人がけっこういる。近所だけでなく、遠くにも、ときには一泊の旅程で現地に向かう。ご当地ラーメンという言い方がいつごろから始まったか記憶はないが、いまはそうやって旅したりするだけでなく、近所の食品スーパーでもご当地ラーメンを品定めできる▼さっき行ってきた店では、仙台、八王子、佐野、和歌山、徳島、京都のカップ麺があった。ご当地ラーメンとは違うが、有名店とコラボした高価格帯の商品が店の一等地に鎮座しているのもよく見かける▼現地に行かずとも地域独特のラーメンを味わえるのも、カップ麺の開発あったればこそだ。世界初のカップ麺「カップヌードル」が発売されて、今年9月で50年になる。「発売半世紀」、こういうとなにか感慨深い▼日清食品創業者の安藤百福がアメリカへ視察に出かけた時のこと。スーパーの担当者たちは、「チキンラーメン」を小さく割ってカップに入れ、お湯を注いでフォークで食べ始めた。それを見た安藤が、様々な知恵と革新的な発想を結集してカップヌードル誕生に結びつけた。あのカップの中には、食品加工だけでなく容器包装の技術の粋が詰まっている▼とはいえ、ラーメンの味は地場の味。調べて出かけて探して並んで、いらっしゃい!と呼ばれて味わえる一期一会の味である。(21・7・7)続きは本紙で

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