産業用火薬を製造する旭化成、日本化薬の折半出資会社、カヤク・ジャパン(東京都墨田区)の東海(とうみ)工場(宮崎県延岡市)で1日午後1時51分、爆発が発生した。この事故で1人が行方不明となり、2日午前現在も捜索が続けられている。ほかに別の1人が軽傷を負ったほか、周辺約50件の住宅、公共施設でガラス、シャッターが破損するなどの被害が出た。2日未明に市内で記者会見が行われ、横山真一郎社長らが事故の概要を説明した。

 爆発事故は同工場の「第一洗浄工室」で起きた。火薬類を洗浄(中和)する施設で、火薬類の一種「ジエチレングリコールジナイトレート」を次の配合工程に移すための払い出し作業中に発生した。爆発により施設が消失、同日午後2時5分に火は消し止められたが、この作業で計量を担当していた同社社員1人が現在も行方不明だ。

 行方不明になった社員と同じ班で火薬類の運搬作業を担当していた別の2人は爆発発生時に現場から離れていて無事だった。この日工場に居合わせた旭化成グループの社員が爆発により吹き飛んだガラスの破片が当たり、3針縫うけがを負った。

 爆発が起きた施設では火薬原料の貯蔵タンクがあり、最大貯蔵量はジエチレングリコールジナイトレートが1100キログラム、ダイナマイト原料「ニトログリセリン」が2000キログラム。一般的なダイナマイト換算で2万~3万本分に相当する量という。

 事故の原因は調査中だ。一般に火薬類は摩擦や衝撃などの強い力が加わると爆発する。このため火薬類を扱う工場では作業時はポケットがない服を着用する、静電気を発生させないよう特殊な機器、部材を使うなど、様々な安全対策がとられている。

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