コンビニやスーパーなどの支払いをキャッシュレスですませることが格段に増えた。レジの前で後ろの人を気にしながら、財布の中をのぞき込み現金を数えて端数ぴったりに払えた-あの小さな満足感に浸る機会はめったになくなった▼キャッシュレス決済を後押ししたのは言うまでもなくポイント還元事業。消費増税以降の景気テコ入れ策の一環で昨年10月に始まった。コンビニであれば2%をその場で還元される仕組みは、いつも割り引きされているような感覚になる▼6月時点の加盟店登録数は115万。3月半ばまでの決済金額は7・2兆円にのぼり、還元額は2980億円。金額別にみると、500円未満の決済回数が12・6億回と最多の37%を占めており、いかにキャッシュレス決済が身近になったかが分かる▼この事業は6月末で終了する。ポイント還元がなくなった後はどうなるだろうか。消費者が現金払いに後戻りすることは考えにくい。鉄道を利用する時に改札をカードでタッチして通過するのと同じように定着するかもしれない▼中小の加盟店にとっては決済手数料の補助がなくなることが課題になりそう。現金払いに戻すと客足が遠のく懸念がある一方、キャッシュレスを続けることは経営の重荷になりかねない。ニューノーマルへの対応に悩む店主は多いはずだ。(20・6・26)

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