米国食品医薬品局(FDA)は22日、米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」(製品名・ベクルリー)を新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として承認した。5月に緊急使用許可(EUA)を出し、入院患者に使われてきたが、正式に薬事承認した。米国で正式承認された初めてのコロナ治療薬になる。

 12歳以上の小児、成人で、入院が必要な重症患者を対象に承認した。ECMO(体外式膜型人工肺)を必要としない患者は原則として5日間、ECMO使用患者は10日間投与する。入院治療が可能な医療機関のみで使われる。12歳未満の小児患者に対しては、EUAを改定して投与可能にした。

 薬事承認は、国立衛生研究所(NIH)が行った国際共同治験など3本の臨床試験結果を基に判断された。NIHの試験では、回復までの期間がプラセボ群より5日少ない結果を得た。

 レムデシビルの有効性をめぐっては、世界保健機関(WHO)主導で行われた臨床試験で、死亡率の改善などに「ほとんど効果が認められないか、まったく効果が認められなかった」とする中間結果が先ごろ発表された。これを受け厚生労働省は23日、同試験のデータは査読前のものであることから、「試験の結果に対する詳細な評価・検証を待つ必要がある」との声明を発表。FDAも、非盲検の比較試験だったWHOの治験より、承認の根拠としたNIHの二重盲検試験の方が有効性を正しく評価できるとの見解を示している。

 日本では、米国で5月1日にEUAが出たことを受け、同月7日に特例承認された。ギリアドによると、現在約50カ国で薬事承認またはEUAを取得している。

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