春の陽気となった週末、公園のカワヅザクラはついに開花し満開の梅は甘酸っぱい香りで米粒ほどのサイズの蜂たちを誘っていた。スマートフォンで熱心に写真を撮る人々。バエる写真をアップしているのだろうか。そういえば小型のデジカメもウォークマンも、スマホが登場してからほとんど見かけない▼先週、米アップルの電気自動車(EV)参入に関連する報道が相次いだ。巨大産業の主役はまもなく入れ替わるのか。そのとき、日本の産業構造はどうなるのだろうか。そんな思いが頭をよぎるから、無関心ではいられない▼移動したいときスマホを操作すれば、EVが自動運転で静かに近づいてくる。そんな未来が語られ始めたのはいつ頃からか。電池の生産量や電力インフラは足りるのか、自動運転の技術はどこまで進歩するのか。疑問はつきないが、その日はそう遠くないのかも知れない▼クルマがスマホのようになる、という話も良く聞く。その意味が、プログラムの更新で定期的に機能拡張されるようになることなら興味がない。しかし、IT企業がデザインだけして、製造を外部委託するとなれば話は別だ。スマホにおけるホンハイ、半導体のTSMCのような巨大受託企業が出現するのだろうか。そのとき化学は、下請けから脱することができるのだろうか。(21・2・9)

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