新型コロナウイルスの世界的流行により、欧米を中心に臨床試験が停滞している。臨床開発の情報サービス事業を手がける米メディデータによると、今年3月に臨床試験に登録された症例数は前年同月から約65%減った。米国は7割近く、日本は4割余り減少。3月は中国以外の国・地域へ感染が広がり、各国当局や製薬各社が試験計画の見直しや中断・延期を相次ぎ発表していた。一方で中国は2月から3・4倍に増え、早くも回復する傾向がみられた。
 全世界で行われていた臨床試験4600件、治験実施施設18万2300カ所を対象に集計し、4月3日時点の分析結果をレポート発表した。
 3月に臨床試験に新規登録された症例数は前年同月の実績より65%減少。とくに落ち込みが大きいのはインド(84%減)と英国(80%減)。インドでは同月後半から全土で外出禁止令が出され、英国も多くの国内試験を中断させている。新薬開発の主要国で落ち込み幅が比較的小さかったのはドイツ(32%減)と日本(43%減)。米国は67%、韓国は61%減った。
 前年実績は下回るものの、2月に比べて改善したのは中国とアルゼンチン。中国は68%減だが、今年2月との比較では3・4倍と大幅に回復した。
 疾患領域でみると内分泌系疾患の落ち込みが最も大きく8割減。心血管系疾患や中枢神経系(CNS)疾患も7割近く減った。がんは約半減した。一方で呼吸器系疾患は34%減にとどまった。
 被験者の安全確保や医療現場の負担軽減のため多くの製薬企業が症例登録の中断や試験開始の延期などを決めている。

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