米国食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルス変異株に対するワクチン開発に向けた指針をまとめた。すでに使用されているワクチンを改良したり、追加接種する場合も、ヒトでの臨床試験を求める。ただし発症予防効果を検証する大規模治験までは求めず、先行ワクチンと同等の免疫原性、安全性があるか証明できればよいとの見解だ。臨床試験を行わずに改良型ワクチンの薬事申請を認めるかは現時点で判断せず、今後検討する。

 最初に開発したワクチン(プロトタイプ・ワクチン)を変異株に対応させた改良型ワクチンや、追加接種するブースター・ワクチンを開発する場合、免疫原性を評価する臨床試験の実施を求める。中和抗体の血清反応率と幾何学的平均力価(GMT)を評価項目とし、プロトタイプに対して非劣性かを検証する。改良型ワクチンの場合、コロナワクチン未接種の人に接種するとともに、過去にプロトタイプの接種を受けた人にも接種して評価する。変異前のオリジナル株に対する評価も行う。症例数の規模は明示していない。接種回数や投与量などが同一であれば、プロトタイプ開発時に収集した血清サンプルを対照群データとして使うことも認める。

 非臨床データでは、同じ製造業者により同じプロセスで生産されるワクチンであれば、追加の反復投与毒性試験やDART試験は必須ではない。ただし、更新したCMCデータや製造工程の変更などがあれば、FDAとの協議を求める。

 既存のワクチンは南アフリカなどで増えている変異株への有効性がとくに低いと考えられ、各社が改良型ワクチンやブースターワクチンの開発に着手している。

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