厚生労働省は、20日の薬事・食品衛生審議会(薬食審)医薬品第2部会で英アストラゼネカ(AZ)、米モデルナがそれぞれ開発した新型コロナウイルスワクチン2剤について承認を了承した。21日にも田村憲久厚生労働大臣が正式承認する。ファイザー製に続き、日本で承認される2つ目と3つ目のコロナワクチンになる。モデルナ製は来週から接種が始まる東京、大阪の大規模会場で使われる予定。AZ製は、海外で報告されている血栓症リスクなどを踏まえた接種年齢の見直しや、ワクチン接種事業での位置づけなどが21日に議論される。

 AZ製は今年2月5日、モデルナ製は3月5日に承認申請されていた。両剤とも海外の大規模治験データを根拠にまず申請し、国内治験のデータを後から提出するかたちで承認審査が行われた。モデルナは日本での供給・流通権を持つ武田薬品工業が申請した。20日夜の部会で専門家らが承認可否を審議した結果、両剤とも特例承認して差し支えないとの結論にいたった。田村厚労相は部会後の会見で、21日中にも承認する考えを示し、「今までは1本のトラック(ファイザー製)で走ってきたが、新たに2つ入って『複線』で走れるようになり、ワクチン接種を進めやすくなる」と話した。

 両剤とも対象年齢は18歳以上。AZ製は、発症頻度は極めて低いものの、60歳未満の女性を中心に重篤な血栓症が海外で報告されている。対象年齢を縮小したり、接種を見合わせたりする国も出ている。厚労省によると、薬事承認としては企業の申請通り18歳以上を対象に認める方針だが、接種事業での扱いは今後検討する。21日開催の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で議論する予定。

 両剤とも筋肉内注射で2回接種するが、接種間隔はAZ製が4~12週間、モデルナ製が4週間。AZ製は8~12週間隔で最大の効果を得られることが報告されており、添付文書にも記載する。

 モデルナ製は24日から接種が始まる東京、大阪の大規模会場で使われる。一方、AZ製はワクチン接種事業での位置づけが未定で、21日の同分科会で審議する。

 モデルナ製は来月中に4000万回分、7~9月に1000万回分供給される予定。AZ製は、期限は不明だが1億2000万回分の供給が決まっている。

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