英オックスフォード大学は、新型コロナウイルスワクチン3剤のデルタ株に対する予防効果などを評価した大規模研究データを発表した。デルタ株が流行し始めた5月以降でも、2回接種すれば感染予防効果が7~8割あることがわかった。とくに米モデルナ製は接種1回でも高い効果がある可能性が示された。米ファイザー・独ビオンテック製は、接種直後は英アストラゼネカ(AZ)製より予防効果が高いが、4~5カ月後には同じレベルになる可能性を指摘。また、接種間隔によって効果は変わらないとの見解も示した。

 同大と英国家統計局、英保健省が、ファイザー、AZ、モデルナ製コロナワクチンの予防効果などを評価した。5月以降の約36万人分のデータを収集して行った。オックスフォード大はAZ製ワクチンを最初に研究開発していた機関でもある。

 5月以降で18~64歳の接種1回目(3週後以降)に限定すると、無症状感染も含めた感染予防効果はモデルナ製75%、ファイザー製58%、AZ製43%。2回目(2週後以降)はファイザー製82%、AZ製67%に上昇した。とくに18~34歳の若年層で高く、モデルナ製は1回目で82%、ファイザー製も2回後は90%になった。AZ製も上昇したが、日本などで主な接種対象となる35~64歳では54%にとどまった。

 研究チームはモデルナ製がとくに高い要因として、先に承認されたファイザー、AZ製と比較して若い人に多く接種されていることや、サンプル数が限られていることを挙げている。モデルナ製は今回の発表では、5月以降の1回目データのみが評価可能だった。

 65歳以上も含めると、ファイザー製の感染予防効果は80%、無症状感染を除く発症予防効果は84%。AZ製は感染予防が67%、発症予防が71%だった。いずれも2回接種から2週間後の数値。研究チームによると、接種直後はファイザー製のほうがAZ製より高いが、低下するスピードも速いため、4~5カ月後には同等になる可能性があるという。

 AZ製は、2回目接種までの間隔を8週以上空けることが推奨されている。だが今回の調査では、接種間隔を8週以上にしても効果に差がなかった。

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