最新のロボット技術を新型コロナウイルス対策に活用する動きが広がっている。世界中で感染者が増加するなか、ウイルス感染の拡大防止には、人同士の接触を避けることが重要になる。各企業は、さまざまなシーンにロボットを介することで人々の健康を守り、公共インフラや産業活動の停滞を防ごうとしている。

 ロボットスーツ「HAL」を手掛けるサイバーダイン(茨城県つくば市)は、次世代型清掃用ロボット「CL02」を改良。機能強化第1弾として消毒液噴霧機を取り付けた新版を完成させた。羽田空港旅客ターミナルに導入される。

 同社は、日本空港ビルデングとロボットの共同開発・導入を進めており、2016年に空港リムジンバススタッフの作業負荷低減のため作業支援用のHAL腰タイプを導入。19年11月には空港清掃業務向けにCL02を本格導入した。従来のカーペットなどの清掃機能に加え、新たに取り付けた消毒液噴霧機でターミナル内の壁面・床面に消毒液を噴霧することができる。CL02の自律走行技術を活用、事前に設定したエリアで稼働する。

 中国では、Guangzhou Gosuncn Robot社が5Gパトロールロボットを開発。中国国内の空港など公共エリアで、マスク着用の有無や体温のモニタリングを無人で行い、ウイルス感染拡大を防止する。高解像度カメラ5台と赤外線温度計を搭載し、半径5メートルの範囲で10人の体温を同時に計測する。

 高熱の人やマスク未着用の人を検知すると、すぐに関係当局に通知。取得した情報データは集中制御センターに送信し、リアルタイムで状況を確認できる。すでに広州、上海、西安、貴陽各都市の空港やショッピングモールなどに導入されている。

 木造注文住宅を扱うアキュラホーム(東京都新宿区)は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボット技術を活用し、モデルハウスの来場者と非接触対応できるトータルシステムを開発。自走式案内ロボット「ゴーカンナ君」やカメラ、センサー技術を駆使したシステムを、今月無人モデルハウスに導入した。ロボットの遠隔操作で外を歩く人への呼びかけからモデルハウスの案内まで行う。人と直接会話せずに見学や住宅の相談ができ、営業担当者はリモートワークによる在宅勤務も可能。今期中に15都府県に1カ所ずつ展開する計画としている。

 ANAホールディングスは、遠隔操作ロボットのアバター事業化に向け、スタートアップ「avatarin(アバターイン)」を設立。新型コロナウイルス対策として、遠隔でのコミュニケーションを必要とする医療施設などに独自開発の普及型コミュニケーションアバター「newme(ニューミー)」を優先提供する。すでに一部の大学病院と医療法人への提供を開始、必要に応じて提供先を拡大する。

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