横浜市立大学は30日、横浜市民1277人を対象に実施した新型コロナウイルス抗体価保有量に関する調査結果を発表した。ワクチン3回目接種後7日以上経過した66人全員のオミクロン株に対する中和抗体保有率が100%だったことを確認。一方、市民全体での同株に対する中和抗体保有率はBA・1型、BA・2型ともに28%にとどまることが分かった。ワクチン接種回数が多いほどスパイクたんぱく(SP)抗体価が高く、2回目接種者ではモデルナ製の方がファイザー製よりも同抗体価が高い傾向にあることも明らかにした。

 1月から2月にかけ、無作為抽出した20~74歳の横浜市民を対象に、新型コロナウイルスのSP抗体・ヌクレオカプシド(NP)抗体の2種類を測定した。内訳は、3回目接種者が79人、2回目接種者が1152人、1回目接種者が3人、未接種が43人。全体の約94%が感染・ワクチン接種で生産されるSP抗体が陽性だった。

 さらに対象者から約10%の割合で抽出した123人に、同大が開発した迅速抗体測定システム「hiVNT新型コロナ変異株パネル」を用いて中和抗体保有率を調査。従来株は約87%、デルタ株は74%だったのに対し、オミクロン株はBA・1、BA・2ともに28%に過ぎなかった。加えて、ワクチン2回接種者は6カ月後にはピーク時の10%まで減少する傾向にあることも判明。年齢が高いほどSP抗体価が少なくなることや、3回接種者は接種から1週間ほどで中和抗体価が高くなる傾向にあることも分かった。

 会見で同大の後藤温教授は、「オミクロン株については中和抗体の保有数が3割程度で、調査時よりワクチン接種が進んだ現在でも8~9割が持っているとは思えない」と指摘。コロナ禍が続くなか、「多くが免疫を持っていない可能性を考慮し、マスクなどの感染予防策や、ハイリスク者へのワクチン接種徹底が重要になる」と訴えた。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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