さまざまな物資を運ぶ物流産業の動向は、社会や産業の影響を強く受ける。弊紙でも取り上げたが、日本ロジスティックスシステム協会(JILS)が新型コロナウイルス感染拡大にともなう影響を会員企業に緊急アンケートした。回答をみると、いくつかの課題が浮かび上がってくる▼荷主企業に尋ねたところ、製造業で目立ったのは中国関連。中国から仕入れていた部品が不足し製造ラインが停止したり、一部の原料がショートする危機に遭遇し中国以外の調達比率を高めたといった回答が寄せられた▼流通業への影響では通常時に比べて日用消耗品など物量の大幅な増加による在庫、横もち、増車対応、作業量増大など。消費者殺到による「異常受注」との表現もあった▼物流企業は品目によって極端に量が増えたり減ったりすることへの対応に苦慮しているようだ。量が増えたものとしては一般向け加工食品、市販用冷凍食品など生活に必要な品目が挙がった。減った品目はやはり中国からの物資が多くみられた▼サプライチェーンを含めてBCP(事業継続計画)対策が進んできたとはいえ、どのようにリスクを分散・回避するかは未知数な部分がある。今後も試練が待ち構えているかもしれないが、今回のコロナ禍への対応を貴重な経験として体質強化につなげていくしかない。(20・4・10)

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