英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は4日、米メルクが開発した新型コロナウイルス感染症治療薬「モルヌピラビル」を承認した。軽症患者が自宅でも服用しやすい飲み薬としては実質的に世界初の治療薬。日本でも近く承認申請する。

 高齢者や糖尿病など重症化リスクがある軽~中等症患者に対する治療薬として承認した。コロナ治療薬として開発された新規化合物としては初めての飲み薬。自宅療養者でも服用しやすい選択肢ができたことで今後の治療戦略が大きく変わりそうだ。メルクと英政府は48万人分の治療薬を同国向けに供給する契約を結んでいる。

 同社は欧米でも緊急使用許可などを申請中。日本では未申請だが「可及的速やかに」(MSD日本法人)申請する予定。

 同剤はウイルスの複製に必要な酵素「RNAポリメラーゼ」の働きを阻害する低分子化合物。元々は米リッジバック・バイオセラピューティクスが開発していた。

 同じ作用機序のRNAポリメラーゼ阻害剤では、富士フイルム富山化学の「アビガン」、米アテアとスイス・ロシュが開発する「AT―527」もあるが、モルヌピラビルが1番手で実用化にこぎ着けた。アビガンは追加実施した最終段階の国内治験が10月中にも終わる予定だったが、感染者の減少により進まず、数カ月遅れる見通し。AT―527も第2段階の治験で主要評価項目を達成できなかったため、最終治験の計画を見直している。

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