ゴミ出しで頭を悩ませることは多い。分別では燃えるゴミか資源ゴミか、空き缶は潰すのかそのままか、また袋は指定のものか、半透明でなく透明かなど、自治体ごとにルールも微妙に違う。新しく移り住んだ所では、これらの違いから収集車に持って行ってもらえなかったケースもあるようだ。それぞれ事情はあるだろうが、共通化できないものかとつくづく思う▼ましてや一人暮らしの高齢者は大変な苦労が強いられる。足腰が弱ってゴミ収集場まで持って行くことができない。加えて、ゴミ捨てを頼める人も近くにいない。とくに認知症を患った人は分別も難しいことだろう。そうしてゴミ屋敷化してしまう高齢世帯は多いと聞く▼増え続ける「ゴミ出し難民」を救おうと自治体が支援するケースが増えている。職員がゴミ回収に出向くところでは、一人暮らし世帯の安否確認にもつながっているようである。ただ、人手不足や財政的な課題もあり、国は将来的に自走式ロボットで戸別回収する構想を描いている▼集積所まで自動で運ぶシステムが実用化されれば、収集員の感染症対策などにも大きな効果が期待されるところだ。だが、人と人とのつながりが希薄な現代にあって、嫌われ者のゴミを通じてコミュニケーションが図れれば、これ以上の喜びはない。いろいろ工夫が必要だ。(21・8・26)

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