機械商社がサステナビリティ(持続可能性)を意識した経営を強化している。例えば東京産業は、10月にサステナブル行動指針を策定し、関連施策を行うサステナビリティ推進担当役員およびサステナビリティ推進チームを設置した。同社に限らずプラントやエネルギーに直接関わることが多い機械商社は、その多くが省エネや省資源、高効率化や公害防止、リサイクル・リユースなどに関連する環境配慮型商品への取り組みを強めている。

 東京産業はカーボンニュートラルへの対応拡大を表明している。太陽光発電では、政府の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に対応して、再生可能エネルギー、グリーンイノベーション分野への展開を進める考え。具体的には、太陽光発電設備の建設請負からO&M(運用管理・保守点検)まで知見を生かしたトータルサポート提案を行う。自社設備の売電事業に加え、自家消費型を含む発電設備の営業強化および取引先遊休発電設備のデマンドレスポンス活用、蓄電池併設を提案する。

 太陽光のほかバイオマス、地熱など各種再生エネ関連設備の需要も取り込む。各種認証を取得した燃料の取り扱いにより事業の持続可能性を担保、海外拠点との連携による燃料サプライヤーとの関係深耕も図るそうだ。

 西華産業は環境関連ビジネスとして、レーザーによるリアルタイム測定が可能で、メンテナンスフリーのレーザー式ガス濃度計の販売を促進する。主な用途のなかで排ガス中の酸素、一酸化炭素濃度の測定では、火力発電設備や、ごみ焼却設備の最適燃焼によりCO2削減に寄与。計測機器大手の中外テクノスと提携し提案を進める。また硫化水素、フッ化水素の測定に関しては、計測機器大手の堀場製作所との連携で拡販を図る。

 さらにグループ企業のセイカダイヤエンジンでは、洋上風力発電市場への対応を強化する。この7月に秋田出張所を開設、同県全域の洋上風力発電市場の動向把握および情報発信に努め、同発電に関連する受注を目指す。またユーグレナと相互連携に合意、バイオ燃料活用連携に関する協力関係を構築し、今後漁業用エンジン向けバイオディーゼル燃料「サステオ」の供給を促進する。

 第一実業はプラント・エネルギー事業について、脱炭素関連ビジネスへの取り組みを加速することを明らかにしている。化学や製紙、製鉄などプラント関連ビジネスに注力しながら、脱炭素関連ビジネスの加速を本格的に推進するため「脱炭素ビジネス推進グループ」を立ち上げている。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

 

社説の最新記事もっと見る