ヒトから見れば、チンパンジーもニホンザルも同じ猿。しかしながら、ニホンザルから言わせれば、ヒトとチンパンジーは親戚だ。事実、系統学的にみれば、チンパンジーとニホンザルとの差は、ヒトとチンパンジーの差よりずっと大きい▼ヒトもチンパンジーもニホンザルも、祖先は一緒だ。ニホンザルがヒトやチンパンジーと枝分かれしたのが3000万年前頃で、その後、テナガザル、オランウータン、ゴリラと枝分かれした。最後にヒトの祖先とチンパンジーが枝分かれしたのは、600~700万年前頃と考えられている▼チンパンジーには、普通のチンパンジーと、ピグミーチンパンジー(ボノボ)の2種類がある。チンパンジーのオスはときに敵対する群れのオスを殺す。子殺しまで行う。オスはメスより優位で階級社会を形成し、常に下克上を狙っている▼一方で、ボノボはより平和を愛する。他の群れを襲ったりせず、オスとメスの立場もおおむね平等だ。メスがオスの階級社会の順位決定に関与することもある。そして、その親戚であるヒトは、チンパンジーとボノボの両方の性質を持っているとされる▼さて、久しぶりに動物園に行って、サルたちと再会したい。フクロテナガザルの勇姿と叫び声。オランウータンの哀愁。この間、会社のOBと再会したからだろうか。(21・11・2)

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