シスメックスは、新型コロナウイルス感染症のPCR検査試薬について、国内完結型の生産サプライチェーンを敷いたと発表した。試薬に使う酵素や容器などを国内でほぼすべて調達し、神戸市の工場で月20万テストの生産を始めた。今週にも出荷できる見通しだ。生産能力を100万テストに拡大できる設備を確保しており、需要を見極めて増産対応する。

 コロナPCR検査は現状、1日約2万人に実施されているが、試薬やその原料、検査装置のいずれも海外品への依存度が高い。世界的に需要が高まったり、不測の事態で供給網が途絶えれば、日本は検査を行えない恐れがある。 

 シスメックスは昨年3月に日本で最初にPCR検査薬の承認を取得したが、中国からの導入品だった。今回、試薬に使う酵素や容器などの原料を国内で調達し、開発し直した。

 新試薬は今月14日付で体外診断用医薬品として製造販売承認を取得し、保険適用も認められた。中国品は2022年度末まで販売を続けるが、新試薬への切り替えを提案する。

 高速PCRに対応する酵素を用いることで増幅から結果出力までの時間を従来の約80分から約40分と半分にできる。変異株の検出も理論上可能とし、今後、臨床検体を用いて性能確認を行うという。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る