シンプルなデザインによって組織やブランドを象徴するのがシンボルマークやロゴマーク。お台場の海上に設置されていた三日月のような形状が三つ並んだモニュメントはパラリンピックのシンボルマークで、スリーアギトスと呼ばれる▼アギトはラテン語で「私は動く」という意味。困難があってもあきらめず、限界に挑戦し続けるパラリンピアンを表現しているとのこと。このデザインは4代目(3代目を若干変更)となるが、「五輪」のように定着するだろうか▼日本にはシンボルマークのルーツのようなものが古くから伝わっている。それは家紋。土器などに刻まれた文様を公家達が衣服、牛車などに使ったことが家紋につながったとの説がある▼省庁にもシンボルマークがある。経済産業省のそれは空色と白色が組み合わさった正六角形。産業と貿易がバランスを保ちつつ発展する状態を表現している。通商産業省時代から受け継いでおり、国際規格の非常口マークなどを作成した太田幸夫氏がデザインした▼今月始動したデジタル庁はどうか。シンボルマークはなく白地に黒のロゴタイプ(文字列)だけ。スタートアップ、スピーディーといったキーワードを軸にデジタル庁の姿勢を体現しているそうだ。日本のデジタル改革に向けてシンプルな体制で仕事を進めてほしい。(21・9・17)

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