医療関連資材メーカーのスギヤマゲン(東京都文京区)は、新型コロナウイルスワクチン輸送に使う保冷ボックスのラインアップを拡充する。米ファイザーと独ビオンテックが開発した同ワクチンの保存条件が変わったことを踏まえ、来月から新たにマイナス15度C以下に対応したグレードを投入する。ボックスに入れる蓄冷材の単体販売なども計画し、さまざまな選択肢を提供する。

 スギヤマゲンは、シャープが開発した蓄冷材を活用した医薬品向け定温輸送ボックスを今年1月に発売した。外箱、蓄冷材、発泡スチロール、ワクチンを入れるアルミケースで構成。外気温35度Cの環境下で12時間、2~8度Cで管理可能なのが特徴だ。

 精密に温度コントロールできることなどが評価され、2月には厚生労働省と契約を締結。新型コロナウイルスワクチンを接種会場に運ぶ際の資材として4万個の納入が決まった。1ボックスで50本、運ぶことが可能で、5月までにすべて納品する計画。このほか、自治体からも約2万4000個の注文を受けている。

 足元、2~8度C対応のボックスのみだが、今月、ファイザー製のワクチンが通常のマイナス25度C~マイナス15度Cの冷凍温度帯で取り扱えるようになったことから、4月以降、新グレードを追加する。まず来月にも投入するのがマイナス15度C以下で12時間、保管できるボックス。融点がマイナス25度Cとなるワイケーホールディングスやイノアックコーポレーションの蓄冷材を使って実用化した。

 シャープが新たに開発し、来月末から供給予定の融点マイナス22度Cの蓄冷材を使ったボックスも用意する。従来ボックスでは融点3度Cの蓄冷材を使っていたが、さらに低い温度とすることで、マイナス25度C~マイナス15度Cの範囲に収まるようにした。発売時期は5月を見込む。

 併せて、蓄冷材やボックスのばら売りも行っていく。例えば、ボックスがすで手元にある場合、中の蓄冷材を入れ替えることで、異なる温度帯に対応できるようになる。自治体から寄せられる多様なニーズに応えるのが狙いだ。

 一方、新型コロナウイルスワクチン接種に実務を担う自治体からの注文が増えていることを受け、増産体制の構築も急ぐ。ボックス組み立て作業を委託しているオーク物流(埼玉県春日部市)で増員を実施。また、ボトルネックとなっていた発泡スチロールの調達改善も図り、4月から日産能力を現状の2倍となる2200個にまで対応できるようにした。

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