パソコンのキーボードのスペースキーは、主に三つの役割がある。一つめは、たとえば姓名の姓と名の間に入れるようなスペース。株式会社と社名の間、姓名と敬称・肩書きの間など、スペースを切れ目として、文字認識の手助けをする。ずらずら漢字だけ、ひらがなやカタカナだけが続くと読みにくい▼二つめは、読みを入力した文字を漢字などに変換する変換キーの役割。これはかなり使用頻度が高い。そして、もう一つ。グーグルなどの検索サイトや自分のパソコンのデータ検索などでの「AND検索」のキーという役割。この用途でのスペースキーの役割は絶大だ。キーワードがもし1個しか使えなかったら、ヒットする件数が膨大になりすぎて実用的ではない▼逆にすこし不便なこともある。たとえば「鈴木花子」という名前が文書内に含まれるファイルやメールを検索するとき。「鈴木花子」というキーワードでは、「鈴木(スペース)花子」にヒットしない。個人的には、検索精度を高く維持するために、文書の見映えのため固有名詞の間にスペースを入れるのは極力避けるようにしている。そんなことをタイトルにした本も出ている▼スペースキーが日本語知的生産に果たす役割は大きいが、そういえばこれはプラスチックでできている。この材料の貢献も言わずもがなだ。(21・3・29)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る