がん領域を中心とする創薬ベンチャーのソレイジア・ファーマは、新型コロナウイルスの流行を受け、中国でメッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」を用いた情報提供活動に切り替えた。信頼関係が築けている医療従事者を対象に、電話を加えた2本柱で展開中。病院への立ち入りが制限され、従来のような活動が難しくなるなか、適切な製品情報が届けられるようにする。
 同社は、がん患者向け吐き気防止パッチ剤「サンキューソ」と口腔用痛み緩和剤「エピシル」の2製品を中国で販売している。北京、上海、広州(広東省)の3市は同社で採用した医薬情報担当者(MR)を通じた自販体制を構築。残る地域は、香港の李氏大薬廠(リーズファーマ)に委託している。
 ただ、新型コロナウイルスの蔓延から、病院に顔を出す通常のMR活動はできなくなっている。外出が困難なこともあり、約40人いる中国人社員はすべて自宅待機の指示を出している。一方、同社製品を使ったがん患者の治療も進んでいるため、対面によらない情報提供を行うこととした。
 着目したのは、中国で広く普及しているWeChat。日本での「LINE」に相当するメッセンジャーアプリで、多くの中国人が利用。すでにネットワークのある現地の医療従事者を中心に、WeChatを利用した形で同社製品に関する情報を発信していく。合わせて電話対応も実施する。
 また、製品供給が途切れないように物流面にも目配りしていく。現地では移動制限がかかっていることを背景に、物流網に混乱が生じている。支障を来さないように、現地拠点で担当者を決めるとともに提携先である伊藤忠商事と協力し、医療機関に納入できるように務めていく。
 ソレイジアは中国での製品販売の割合が高い。そのため、新型コロナウイルスが事業に与えるインパクトに関して「年間を通じて10~20%のマイナス要因になる」(荒井好裕社長)としている。同時にSARS(重症急性呼吸器症候群)での経過を踏まえ、影響は「今年半ばまで続くのではないか」(同)とした。(吉水暁)

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